八津尾初夫さんの言葉です。
あの、悪夢のような震災から2年、
今朝も目が覚め被害に遭った自宅へ車を走らせると、
やはり夢ではない現実がそこにあります。
風が吹くと砂塵が舞う荒涼とした大地、
その向こうにかつてあったはずの緑の松原は消え去り、
間近に迫りくる海岸線、平穏な生活の営みがあったはずの、
緑豊かな農村風景はそこにはありません。
私の住んでいた南相馬市、一翼を担ってこられた方々、
また、福島を、日本を背負っていったであろう方々、
夢、志、半ばにしてお浄土へ行ってしまいました。
六百数十名が犠牲になり、多くの方がいまだに家族の元へ帰って来ておりません。
認めたくない現実です。
対岸の火事と思っていたこの自然現象で、地球より重い命、いとしい家族、
数多く失ってしまいました。あまりにも無防備だったことに対し深く反省し、
二度とこのようなことにならないように、
この惨状を後世に伝えていかなければなりません。
あの震災直後、身の危険も顧みず人命救助、行方不明者の捜索をしてくださった、
消防団、自衛隊、警察、地元住民などで、多くの命を救っていただいたし、
犠牲者の発見もしていただき、家族の元へ帰していただきましたこと、
そして、全国各地より物心両面でご支援いただきましたことに対し、
あらためて感謝申し上げます。
2年の月日が経過する今、私たちはなかなか前へ進めないでおりますが、
残された私たちに「亡くなった家族の思いは何か」ということを考えると、
それは現実を受け止め、一歩一歩前へ力強く歩んでいくことではないかと思います。
住宅の再建、農地の復旧、地域のコミュニティー、放射能不安などなど、課題山積、
前が見えませんが、本日を一つの節目とし、力を合わせ、緑豊かな、元の、
いや元以上のふるさと、子どもたちの歓声がこだまするふるさと再生、
再興のために努力していくことを、心をお寄せいただいた全国の皆さま方に、
そして、お浄土へ行ってしまったみ霊に、お誓いを申し上げ追悼の言葉といたします。
福島県代表 八津尾初夫