素晴らしい福島の住職さんの話です。
(汚染された土の仮置き場を提供する阿部光裕住職。土の入ったドラム缶は増えるばかり=福島市で)
▼『預かった汚染土150トン 福島の住職住民から無償保管』
東京新聞 2012年8月2日 朝刊
福島第一原発事故による土壌汚染に住民が不安を抱える福島市で、
行政に頼らず削り取った土を無償で預かっている「常円寺」の住職阿部光裕さん(48)。
保管する汚染土は百五十トンを超えた。
「つるりん和尚」と親しまれる住職は「仏の道を説いても人々を助けられない。
今やれることは一つ」と迷いがない。(坪井千隼)
山沿いにある本堂の裏山に、ドラム缶状のプラスチック製容器が五百本並ぶ。
ふたを開けると赤茶けた土がぎっしり。
線量計を近づけると、毎時二〇マイクロシーベルトを示し警報音が鳴った。
「短時間、近寄るだけなら大丈夫。怖いけど、こんなのが住民の近くにある方がもっと怖いからね」
受け入れを始めたのは昨年六月。福島市内には、計画的避難区域に相当する
毎時三・八マイクロシーベルトを上回る場所が点在する。
三歳児の母親から「放射能が心配で眠れない」と相談され、
「うちの裏山なら周囲に民家がない」と保管を決めた。
子育て中や高線量の家を優先し、これまで預かったのは二百世帯以上。
庭から二十キロを引き取ってもらった公務員大和田茂憲さん(44)は
「うちは線量が高く、五歳の子がいる。わらにもすがる思いだった」と感謝する。
知人と設立した市民団体「花に願いを」でも活動を続ける。
各町内会と協力し、雨水で放射性物質がたまりやすい側溝や街路樹の根元など六十カ所を除染。
二、三十人のボランティアらとスコップで土をかき集め、高圧洗浄機でコンクリートなどを洗浄する。
阿部さんは僧侶名「鶴林(かくりん)光裕」から、近所の子どもに「つるりん和尚」と呼ばれる。
ブログ「つるりん和尚のああいえばこうゆう録」や「花に願いを」のホームページを見て、
県内外からボランティアが駆け付ける。
福島市は今年に入り除染作業を本格化させたが仮置き場が決まったのは一カ所だけ。
「役所の対応は待っていられない。自分たちの安全のため、住民が動かないと」。
怒れる住職の奮闘は続く。
<除染計画>
福島県内では、住民が避難している警戒区域と計画的避難区域を除き、
中部、西部の41市町村が除染作業を予定。多くが2014年度までに住宅や店舗、
道路などの除染を終える計画だが、汚染土の仮置き場が決まらず、
大半の自治体で作業が始まっていない。国の計画では仮置き場の保管は3年程度。
その後は福島県内に新設する中間貯蔵施設に移す方針だが、建設場所は決まっておらず
住民は仮置き場での保管が長期化することを心配している。
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○住職阿部光裕さんのブログ『つるりん和尚のああいえばこうゆう録』
○『花に願いを』
是非チェックして下さい。