「 」‥娘(ミチル)
『 』‥母(真賀田 四季)
「お母様。海は月より人間に必要なものに思えます」
『それは人間との関係が強いということ』
「人間も他の多くのものと関係しているのですね」
『そうですね。一人一人の人間の存在がその周辺に影響を与えます。
でも人は周りの人やものの為に存在しているのではありません。
つい誰かの為になりたい、皆んなの役に立ちたい、それを自分の存在の理由に
したいと考えがちなのです。存在の理由を分からないままにしておけないのね。
常に答えを欲しがる、それが人間という動物の習性です』
「欲しがってはいけないのですか?」
『いいえ、欲しがることは間違いではありません。
しかし、完全なる答えなど無いのです。でもそれを問い続けることはとても大事なことです』
「近づくことは出来るのですね」
『そう考えれば良いと思います。でも私にもまだ分かりません』
「お母様にも分からないことがあるのですか?」
『もちろんです。分からないことがあるから、人は優しくなれるのです』
「どうしてですか?」
『全てが分かってしまったら、何も試すことが出来ません。
何も試さなねれば、新しいことは何も起こらない。人は分からないことの答えを知りたい
と思って追い求める、そこに優しや懐かしさ、そして喜び楽しみが生まれるのです』
「私はお母様にいつも聞いています。こうして答えを求めることで、私は優しくなれますか?」
『そうね、私が居ない時もいつも問いなさい。誰も答えてくれない時も問い続けなさい。
自分で自分に問うのです。それを忘れてはいけません。それがあなたの優しさになるでしょう』
「分かりました。お母様」
▽『すべがFになる THE PERFECT INSIDER 第十一章 無色の週末』 より〜