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記事

流石、福井新聞です。

分かりやすく、力強い記事です!

是非、読んで下さい。


『「汚染水」国会論戦 どこを向いた議論なのか』
福井新聞 2013年10月24日午前7時35分

ねじれ状態が解消した中で臨時国会の論戦が本格化した。

経済再生政策や消費税率引き上げ、環太平洋連携協定(TPP)交渉、
特定秘密保護法案、憲法改正集団的自衛権の行使容認など重要課題に直面。

国民に分かりやすい内容のある議論を期待したい。

しかし、現状は巨大与党化した安倍政権の強気の答弁が目立ち、
国のかじ取りに危うさがみえる。

国の危機管理が問われるのは東京電力福島第1原発事故の対応も同様である。
喫緊の課題である汚染水問題は野党側が積極的に取り上げている。
だが論戦の中身は、あまりにお粗末ではないだろうか。

安倍晋三首相が9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、
放射性物質の影響に関し「港湾内で完全にブロックされている」と
発言したことが野党の標的になっている。

汚染水の状況は悪化する一方だ。貯蔵タンクから漏水した汚染水が外洋に流出。
さらに大雨でタンク周辺から雨水があふれ出し、排出基準を上回る放射性物質が検出された。
港湾内の水も湾外と入れ替わっている。
海水で濃度が薄められれば基準値以下になる。
これが現状だ。

安倍首相は16日の衆院本会議で「全体として状況はコントロールされている」と
表現を変えたが、22日の同予算委で詰問されると「完全にブロックされている」と再修正した。

茂木敏充経済産業相は「個々の事象は発生しているが、影響はコントロールされている」と繰り返した。
その根拠に海洋モニタリングで基準値を下回っている点を挙げた。
田中俊一原子力規制委員長も追認した。だがそれで福島県民は納得するだろうか。
建屋地下に1日400トンの地下水が流れ込み、新たな汚染水となっている。
抜本対策はこれからで、収束には程遠い。

首相は9月3日の原子力災害対策本部会合で「国が前面に立ち解決に当たる」と
国主導を強調したが、会合はその後一度も開かれていない。

22日の予算委で茂木経産相は内向きな、はぐらかし答弁に終始した。

矢面に立つ首相を「ブロック」し、質問にまともに答えない経産相責任能力があるか疑問だ。

国民には、住民の健康や環境より政権を守ることを優先しているように映らないか。
政府を批判する民主党議員の質問、やじに首相が「民主党時代からだ」と毒づく場面もあった。
汚染水問題を過剰に議論すれば、かえって風評被害をあおり、
国際社会の不信を買うジレンマもあるのは事実だ。

首相が強調するように「オールジャパン」で取り組むべき難題である。
だからこそ真摯(しんし)に課題と向き合い、前向きに対策を練る熟議の場であるべきだ。
連日の論戦はその本質から遠く外れた低レベルなものだ。

巨大与党におごりはないか。弱小化した野党に厭戦(えんせん)気分はないか。
「厳しく追及するとブーメランのように返ってきて、傷を負うことになる」(民主党閣僚経験者)
という感覚では、原発事故やTPP、消費税問題も議論が深まらない。

憲法問題でも、国家主義色の強い安倍政権の「暴走」を懸念する声は自民党内にもある。
数の論理がまかり通り、国会論議が結果として政策を「信任」する場になっては本末転倒である。